飴玉恋模様
存在

出会い

高校に入学して約1か月。
もう大分学校にも慣れて、新しい友達も出来た。

そして今日も、元気よく家を飛び出した。

―塚本美桜―


毎朝通勤ラッシュで満員の電車に乗り込み、学校まで向かう。
それにも慣れたため、あまり疲れない。

約20分もすれば駅に着き、美桜は電車を降りる。


駅からは歩いて5分程度。

学校までの道のりを歩いていると、途中にコンビニがある。


美桜は鞄の中を除く。


あ、今飴がない!!

そう思った途端、慌ててコンビニに駆け込む。
そして袋詰めの飴が置いてあるコーナーへ行くと、しばらくいくつかの飴を見比べ吟味する。

んー・・・・
今日は気分的に・・ぶどう味かな!

ぶどう味の飴に決め、レジで購入する。

そして時計を見ると、もう8時。


うっそ!?
もうこんな時間!?


「ありがとうございました」

店員さんの声を聞く暇もなく、急いで学校へ走った。


8時10分には校門に入らなければならない。
あと10分で遅刻、というわけだ。


なんとか間に合い、教室へ。

「おはよー」
走って疲れ切った美桜は机に倒れながら、親友の凛に挨拶をする。

「あんた、どうしたの?」
凛は美桜の顔を覗き込む。

「飴買ってたら、いつの間にか8時で・・」
「また飴買ってたわけ!?あんた2日に1回のペースで買ってない?」
呆れ気味の凛に、美桜は頷き、
「だって飴好きなんだもん」
と答えた。


そう、美桜は飴が大好きなのだ。


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