飴玉恋模様
そう思っていたとき、ガラッと荒々しくドアを開け、女が出て来た。
「あんたに邪魔された!」
女はそう言って鼻をならし、去って行った。

こんなところで変なことしてる方が悪いんじゃない!

美桜は図書室に入る。


「あ・・・」

まださっきの男が残っていた。

二人の間に気まずい空気が流れる。


作業・・・してもいいよね・・・?


美桜は静かに動き出した。


えーと、まずは・・・。

本の一覧が書いてある紙を見ながら本を探す。


あ、あった!


やっと1冊めが見つかったとき、

「ねえ」

と声をかけらてた。


「は、はい」
おそらく先輩であろう男に緊張しながら振り返る。

「さっきは助かったよ。ありがとう」
いきなりお礼を言われ、美桜は戸惑う。

「俺、さっきの女とキスなんかしたくなかったんだよね。あっちが勝手にしてきたんだし」
「あ、そうですか」
控え目に答える。

「しかも、舌入れてきやがったよ。あー気持ちわりー」
男は舌を出し、苦い顔をする。
「あ・・・飴、食べますか?」
とりあえず機嫌を取っておこうと、飴を差し出す。
「おーサンキュ」
男は飴を受け取ると口に放り込んだ。


「ところで、君はここで何してるの?」
「先生に本探し頼まれて・・・」
「あぁ、そう。その紙、貸してみろ」
美桜は素直に紙を渡す。

「お前一人じゃあ日が暮れそうだから、手伝ってやるよ」
男は意地悪く笑うと、本を探し始めた。
「ありがとうございます」
美桜も本探しを再開する。


1時間後・・・。

「お、終わった~」
美桜は床に座り込む。

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