イケメン双子と、もちろん『腐』の付く愛され女子と。
まずは第一期のおさらいを《ナレーションは安藤です。ご了承の程を》

「んまあ、失礼しちゃうわねえ。わたしじゃ不服だっていうの!? だいたいナレーションにわたしを選んだのって、あんたじゃない。まったく……いったい、どんな育ち方したのかしら」

《小言は要らないので、先に進んでください》

「……良い性格してんじゃない。まあいいわ、じゃあサッサと進めてパッパと終ろうじゃない。時は金なりってね、わたしだって暇じゃないんだから。ええと台本、台本と、……」

「ちょっとこんな小さな字、見えるはずないじゃない! 何よ、その目。言っときますけど、まだわたしは老眼じゃないからね、単なる…遠視なんだから……ほら、さっさと拡大鏡寄越しなさいよ」

《拡大鏡……あの、この虫眼鏡のことでしょうか》

「そうそう、それよ。眼鏡なんて、書類でも見ない限り普段は必要ないから、オフィスに置いてきちゃったのよ。ほら早く……まあ、良く見える♪」

「じゃあ、気を取り直して! 『第一期、イケ腐』これまでのあらすじは――」

「類稀な美少女『佐久良 碧羽』は、彼女を妬む有象無象の魔の手から守るため、幼馴染の双子によって残念すぎる女子へと転向させられた」

「ひとりになった碧羽は、ひとり身の寂しさから、なんと怖いもの無しの『腐女子』へと生まれ変わっていた! これにはすべからくイケメン双子な『椿木 凛』と『椿木 漸』も、おったまげた」

「彼らは残念すぎる碧羽を、もとの美しいすがたへと戻すため奮闘する。紆余曲折の甲斐あって、碧羽は美少女へと戻ったのであった――までは良かったが」

「碧羽のために沢山の洋服を仕入れようと、母親の会社へと彼女を連れて行ったのが間違いだったのだ。碧羽は会社のオフィス・マネージャーである『安藤 一誠・36歳』に目をつけられてしまった」

「突如として乱入する『神崎 hacchi 桂花』までもが加わり、碧羽たちは四人まとめてオネエの餌食とされたのだ――って、ちょっと! オネエってなによ」

「だいたい完結間際で当て馬出してくるとかさ、あんただって結構エグイことしてんじゃない。つぎに引っぱろうってのが見え見えよ。図星でしょ、悔しかったらぐうの音くらい言ってみなさい」

《……ぐう》

「言ってんじゃないわよ! とにかく、わたし役目終わったから帰る。今日は彼女とお節料理つつくんだから♪ じゃあね」

《という訳で、本章はお正月よりスタートいたします》
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