結婚適齢期症候群
急いでる時に限って電車はなかなか来ないもので。

ようやく来た電車に飛び乗った。

脱衣所にちゃんと椅子は用意したのかな。

着がえも用意してあるのかな。

昨日全部私が手配したことができてるのか、やっぱり気になる。

電車から降りると、ショウヘイの家まで走った。

今日はやたら走る日だわ。

今お酒飲んだら速攻落ちる。

そんなことはどうでもいいか。

人は一人でいる時、どうしてこんなにもくだらないことを考える生き物なのかしらね。

そんな自分に笑えた。

階段を駆け上がり、玄関の鍵を開けた。

「ただいま帰りました-。」

廊下に自分の声が響く。

奥のリビングには人の気配はない。

「・・・待ってたよ。」

少し疲れたショウヘイの声が、閉められた脱衣所から聞こえた。

まだ脱衣所にいるってことは・・・もしかして私の予感的中?!

「ごめん、着がえ持ってくるの忘れた。」

やっぱり。

扉の中にいるショウヘイに問いかける。

「椅子は?」

「それは、昨日君がしてくれてたのを思い出してなんとか用意した。肝心の着がえを持って入るの忘れるなんて、俺も馬鹿だよな。」

「ちょっと待っててすぐ持って来るわ。」

ほんと、一番肝心な着がえを忘れるなんて。

椅子は忘れても普通着がえは持って入るでしょう?

でも、足の怪我で椅子が精一杯だったのかもしれない。

一人で頼りないってわかってるから、きっと私を居候させようって思ってるわけだし。

ショウヘイの下着が入ってるタンスの引き出しを開ける。

結構無造作に入ってる入ってる。

一枚を手にとった。

ショウヘイのパンツ。

一応どこかのブランドのきれいな柄のパンツだった。

思わずまじまじと見てしまう。慌てて何見てんだと我に返る。





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