結婚適齢期症候群
13章 結婚適齢期
ミユキには「またオーストリアですか!好きですねぇ。」なんて言われちゃったけど、飛んじゃってますよー。

空の上。

あの青い空と黄色い宮殿にもう一度会いたくて。

今度は新婚旅行で来るなんて、ショウヘイに豪語していたけれど、心配していたとおり傷心旅行で再び訪れることになったウィーン。

それでも、よかった。

私にとっては大切な場所。

忘れられない、かけがえのない思い出が詰まった場所なんだ。

空港に降り立つ。

置き引きに合った自分を思い出して、思わず笑う。

今回はちゃんとスーツケースで来たわよ。

そんな簡単には置き引きには遭わないはず。

ガイドブックを広げる。

バッグを下に置いてガイドブックを広げるなんてって、ショウヘイにあきれ顔で言われたっけ。

ガイドブックから顔を上げる。

周りは、当然のように大きな体の外国人が歩いていた。

いるはずもないのに、ショウヘイの姿を探している自分って・・・。

この旅の終わりには完全に吹っ切らなくちゃ。

そして、今度こそとびきりの恋愛をして結婚するの。

とりあえず、ホテルに向かった。

市街地までバスを使う。

海外でバスに一人で乗るなんて初めてだからドキドキした。

でも、周りの人も、運転手さんもとても親切でホッとする。

ホテルの名前を運転手さんに告げたら、ホテルの近くで声をかけて教えてくれた。

割と大きなビジネスホテル。

すぐにチェックインした。

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