君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「……あの……レイ様……」
「あいつ、あの時の王子様だろ」

部屋に戻り、意を決して絞り出した言葉はレイのそっけない一言にかき消された。

「フィーさ。あいつとはあまり関わらない方がいいよ」
「え……?」
レイは根に持つタイプではないと勝手に思っていただけに、この忠告は胸に鋭く刺さった。

「違うんです。あの時はレイ様の御身分を知らなくて。ただ、私を守ってくださろうとして……」
「おれとの一件はどうでもいいんだ」

え? 違う?

それがいいことなのか、悪いことなのか、真意を計り損ねた。

「あれから、あいつのことを色々調べてみた」

身辺調査をしたということだろうか。
どうしてそんなことを?


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