いじめっ子には愛の鉄槌を





「おかしいな。

俺、契約更新してるはずなんだけど」




そう言って頭をぼりぼり掻いて出てきた男を見て……

あたしは固まっていた。





黒い少し長めの髪は、なんだか寝癖がついている。

よれたTシャツにジャージを着た、いかにも部屋着スタイルの彼の顔に見覚えがある。

……見覚えがあるどころではない、むしろトラウマだ。

あたしはこの人のことを忘れない。

この人が中学に上がるまで、あたしはチビだのろまだといじめられた。

そう、こいつは悪ガキの、



「淳太君……」



なのだ。



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