いじめっ子には愛の鉄槌を
あたしは唇を押さえたまま、小走りで部屋に駆け込む。
そして、扉をばたんと閉めた。
扉を閉めても鼓動は鳴り止まず、身体は熱気を帯びている。
立つことも出来ず、扉を背にへなへなと座り込んだ。
淳太君は危険だ、何を考えているのか全く分からない。
それなのに、あたしはこうも淳太君に狂わされている。
淳太君なんて大嫌いなのに、忘れたいのに、唇からは淳太君の感触が消えることはなかった。
まるで印を刻み込まれたように、ありありと淳太君を思い出してしまうのだった。