いじめっ子には愛の鉄槌を









やがてあたしたちは見慣れたマンションに着き、その部屋に入る。

暗い室内の電気を点け、リビングへ向かう。

淳太君のものがなくなったリビングは、酷くがらんとしていて殺風景だった。

そして、それが別れを物語っていた。

そのリビングに立ったまま……

ようやく淳太君が口を開く。





「桃華、泣くな」




そして、優しくあたしの涙を指で掬う。





淳太君が触れるとその部分がぞっとして、もっと触れて欲しいと思う。

それに……淳太君は意地悪だ。

いつもは冷たくあたしを馬鹿にするのに、こんな時はびっくりするくらい優しい。




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