いじめっ子には愛の鉄槌を
「あたしの作ったご飯を喜んで食べてくれたり、赤木さんから守ってくれたり……
そういうことされると、後戻り出来なくなっちゃったよ」
あたしの肩を持つ、淳太君の左手を見る。
小指は少し変色して、変な方向を向いていた。
胸がずきんと痛む。
あたしはその左手をそっと握った。
じんわりと胸が温かくなる。
「淳太君は、あたしをいじめながらも守ってくれていたんだね。
悪役のふりして、正義の味方だったんだ」
「桃華……」
あたしを呼ぶ、その低い声がたまらなく愛しい。
もっともっとあたしの名を呼んで欲しい。
「やっと分かったのに……
やっと好きだと自信を持って言えるのに……
もう淳太君に会えないんだ。
言い合いも出来ないし、ご飯も食べてもらえない。
キスだってしてくれないし……」