きみいろ~そして二人は恋をする~
しかしその一方で・・・。
旧貴族たちにあやかっていた一派は没落の危機に瀕することになった。
恨みやねたみを買うことは多々あり、それによって襲撃されることもしばしばあった。

その経験は王都に戻り、公務全般を仕切るようになってからも、生かされている。

が、それでも全ては把握するのは難しい所で・・。
特に、最近気になっている『あること』には中々手が回っていない状況であった。

「やはり、ここは替わらないな・・・。状況は・・」
「はい殿下にご報告した通り、ここは相変わらずです。」

村の奥にある、少々寂れた場所に二人は査察に入ったものの・・・。
その環境はひどい有様だった。

「派遣していただいている方も奮闘はしてくれてます。しかし、ここについては、正直手が回りません。
医官として非情に優秀な方ではありますが、下町などで生活している民を知らない状況では・・。
治療をして、内服を出して・・だけでは意味がありません。」
「やはり、王都に住む人達とは手のかけ方が違うか・・・。派遣した医官たちは、ここをどうしようと考えている・・・?」
「何処から手をつければいいのか、分からないのが現実でしょう・・・」
「つまり、民の生活を知っていて、彼らの生活で当たり前のようにしていることが出来る人。まず必要なのはそこか?」
「そうですね・・・大事なのは距離感だと思います。彼らと目線を合わせて、接する。その姿勢も必要なのかもしれません」
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