きみいろ～そして二人は恋をする～
もちろんここ以外の治療院でも、療養環境がひどい場所はある。
他の村に移動して治療を受けると言う手ももちろんあるだろう。

しかし、この村は、周囲の地形を考えると、隣町までは坂道が多く・・・。
そして峠を一つ分越える必要があった。

身体の弱った病人を移動させるということは、他の村でもよくあることではあるけれど、
この村では、移動自体にもかなりの負担が掛かる状況だった。

だからこそ・・・何とかしなくてはならない。

命を救う場所に妥協はしない！してはならない・・と。

二人は何とか改善をしたいくて、シェラはクラウスや王立治療院の医官たちを巻き込み奮闘していた。

しかし、王宮に所属する医官はほとんどが貴族出身であり、庶民出の医官は少ない状況。
簡単に言えば金持ち感覚と貧乏人感覚の違いが、価値観の相違をもたらし・・・。

結果、療養環境の改善と言う点で結びつかなかったのだ。

そして皮肉なことに、この村は毎年季節の変わり目で倒れる人が多く、
乳幼児ほど重症化する傾向が見えており、療養環境の早急な改善が必要だった・

季節を考えると、時間はあまりない。
３ヶ月以内に結果を出し、周囲の治療院に伝達し・・・。
各地の療養環境の整備に時間を費やしたい・・・。

二人はそう考えていたが、適任者がどうにも見つからずにいたのだった。
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