きみいろ~そして二人は恋をする~
「変えられる力があるのに、それを遣わない人を見ると・・・。
逆にうらやましくもあり、憎たらしくもあるんです。」
ユリアがシェラと話していた時に聞いた言葉。
クラウスは不意にそれを思い出していた。
そして、思ったのだ・・・。
ユリアこそ、変えられ力があるのに・・・と。
彼女の言った言葉を、今の状況に当てはめれば・・・。
クラウスやシェラは、ユリアに対し、うらやましさすら感じていた。
彼女には彼女にしかできないことが確かにある。
それは、彼女がもつ、医療分野での知識と経験だ・・・。
彼女は、王都よりはなれた下町で工房を持っていて、それを運営していたし・・・。
地域の治療院の手伝いもしていた。
治療院の医官でもない彼女が受け入れられていたのは、一人の医者として、薬剤師として・・。
多くの人やその道のプロに受け入れられていたことを意味している。