愛し愛され
1時間もすると母は落ち着く
怒りが収まった後の母は自分の部屋に閉じこもり朝まで出てこない
私たちが唯一安らげる時間
いつものことだった
けどそんな毎日に終わりを告げる時が来た

ピンポーン

家のチャイムがなった

母が嫌々部屋から出てきてまだ泣いている私たちを見下ろすと玄関へ向かう

「はーい」
母がそう言った瞬間大きな男の人が無理やり部屋に押し入ってきたのが見えた
母はその人たちの迫力に圧倒されて固まり顔は真っ青になっていた
そしてその男に続くくように何人もの大人がこちらへ向かってきた

そっから先はよく覚えていない
気がついたら何人かの大人が僕たちを囲んでいて母は取り押さえられていた
そして大人は口々にこう言った
「無事でよかった」


そして私たちはそれから児童擁護施設に保護された
あの時の大人たちは近所の人たちと警察と児童養護施設の人たちだった
虐待が明るみになった母は逮捕され二度と私たちの前に姿を表すことはなくなった

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