ミラートリック～キミの優しすぎる愛に溺れる～

手紙を持つ手が震えた。

この手紙の中に、妹が知らなかったことが綴られている。

そう思うだけで、不安に駆り立たれる。

だけど、見なければイケない。

だってそこに、姉の涙の訳が綴られているのだろうから・・・

姉は妹が手紙を受け取ったのを確認すると、静かに立ち上がる。

そして、いつもは言わないのに・・・


『またね、イチ』


そんな言葉を残し、立ち去った。

清々しい、姉の後ろ姿。

さっきまで涙を流し、震えていた姉はもういない。

姉は涙と引き換えに、覚悟を決めたのだろう。

妹は手の中にある、姉からの手紙を大事に家へと持ち帰った。

そして覚悟を決め、手紙に目を通したのだった。