ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
タクと呼ばれた人は、軽くあたしに頭を下げた。

それに釣られて、あたしも頭を下げた。


「大丈夫だと思うけど、変な虫が付かねぇようにしてくれ」

「わかった。注意して見とくわ」

「あぁ、頼む。俺、あっちに顔出してくるわ」


タクに向けたのか?

それとも、あたし達に向けた言葉だったのか?

どちらなのかわからないが、そう言うと晃一はその場を後にした。

洒落たグラスを片手に、あたしは室内を見渡す。

騒がしい室内に、楽しそうに騒ぐ人々。

何が、そんなに楽しいのだろうか?

全く、あたしには理解できない。


「千郷~」


千郷の名を呼び、こちらに向かって来たのは、あたしと同じクラスの女子たち。

そんな彼女たちに、千郷は笑みを向けた。

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