ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
彼女たちもあたしの存在に気づき、あたしに頭を下げた。

千郷とあたしの対応の差に、あたしと彼女たちの距離を感じた。

すぐ側にいるものの、あたしは彼女たちと千郷の会話には入らず、背を向けてカウンターの方へと体を向きを変えた。

必然的に、カウンターの中に居るタクと向き合う形になる。


「ここ、初めて?」


そんなあたしに気を遣ったのか?

タクが、あたしに話しかけてくる。


「はい」


素っ気なく返したつもりはないのだが、傍から見たらそう見えても仕方ない。

取っ付きにくい子だと、タクにも思われただろう。

ダメなのは、あたしだ。

わかって居ても、人の性格なんて簡単にわからない。

きっと、これでタクもあたしに話し掛けてこないだろう。

< 29 / 213 >

この作品をシェア

pagetop