好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】

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「……桜城くんって、何者なの?」
 

海雨を訪ねて学校が終わってからあったことを説明すると、海雨は胡乱な顔をした。
 

黒藤のことは……まだ話すか迷っていた。


「……よくわからなくなった」
 

元々、真紅から親しくしていたわけではないけど……今日、従兄妹だという黒藤と逢って、架は黒藤の知り合いで、更に主従関係の家柄らしい。


……言い忘れてしまっていたが、真紅は黎の家が鬼の一族だと知っている。


吸血鬼の血があるのは黎とその母だけだと言うが、では架は……。


「梨実、入るぞ」


「はーい」
 

海雨が軽快に答えた瞬間、真紅の心臓と肩は大きく跳ねた。

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