好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「そういえば、黎さんて桜城くんのお兄さんなんですよね? 家出したってほんとですか?
苗字違うし、わたし、黎さんと澪さんのが親戚だと思ってましたよ」
海雨の質問に、黎は面喰ったようだった。
だが、すぐに微苦笑を浮かべる。
「弟だが、家出ってのは少し違うな。架がそう言い張ってるだけで。
籍は桜城のままだけど、まあ家の事情で小埜の家にいる。血縁関係はない」
「ふーん? でも桜城くんとはあんま似てないですよね」
「そんなもんだろ。真紅、もう昏くなるからそろそろ帰った方がいい」
「うっ⁉ あ、そうだね……」
弄ばれ過ぎて混乱していた真紅は、黎の言葉で我に還った。