好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


海雨にも促されて、病院を出た。


色々あったから、いつもよりは遅い時間だ。


沈みかける太陽の残光を森の端に見て、一瞬だけぞくっとした。


あの色は――


「真紅」


「ひゃあっ⁉」
 

背後から声をかけられて、過剰反応してしまった。


「れ、黎?」


「大丈夫か?」


「ちょっとびっくりしちゃって……どうしたの?」


「送る」

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