好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「ああ、真紅が遠慮することはないからな? 真紅に隠し立てすることはないから、訊きたいことがあったらなんでもどうぞ?」
微笑とともに言われて、また口を引き結んだ。
どうしてそう簡単に、黎の中に自分の存在を許してくれる。
「……もう、逢わないって言ったのに……どうして、今いてくれるの?」
顔をあげられない。
聞きたくない答えが返ってくるかもしれない。でも、訊かずにはいられない。
「なんでって……お前が激突してきたんだろう」
「うっ……それはそうだけど……」
海雨に、ここに黎がいると聞いて、何も訊かずに飛び出した。
その勢いのまま、逢えてしまった。
逢えたら離したくなくて、つかみかかった。