好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「真紅? やっぱり怒ってるか?」
違う、違う。
巻き込んでしまったのは、私の方かもしれない。
黒藤の言葉と、架の言葉。そして、紫色の小鳥。
真紅の現実だけだった世界にはもう、別のモノが混じっている。
――あの夜に真紅を襲ったものが、人間ではない何かだったら。
「ごめん……なさい……」
声はかすれている。
「真紅? どうした。気分悪いのか?」
黎は真紅の言葉の意味がわからず、戸惑っていた。
「ごめん……私のせい、だ……」
「真紅」