好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「俺が勝手にそうしたいだけだ。真紅から激突してきたから、どう逃げてもまたぶつかってきそうだ。なら、俺の目の届かないところで倒れられるのは困る」


「………」
 

駄目だ、これ以上は、泣いてしまう。
 

優しさを、突き放してしまう。


「……ありがと」
 

真紅の住むアパートの目の前で、真紅はやっとそれだけ言えた。

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