好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「……ごめん、なさい……っ」
黎は、助けてくれたのに。
真紅のことを、失いたくなくなったと言って。
でも、その所為で……。
一つ訊くだけで気持ちの持ちようは変わったかもしれない。
でも、怖くて訊けなかった。
体調はどう? どこか悪いところはない? 気分が悪いとか、どこか痛いとか、少しでも、いつもと違うところはない?
……もう、真紅の血が黎の身体を巡っているとしたら――
真紅の血は、黎を殺し始めているかもしれない。