好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「真紅ちゃん、大丈夫? いきなり結界なんかに取り込まれて、気分悪くなってない?」
 

気遣ってくれる架だったが、真紅にそういった症状はなかった。


「大丈夫」


「そう? ならいいけど――兄貴が血を吸ったって、どういうこと?」


「‼ ちょっ! 今ここでそういう話は――」


「答えて」


「―――………」
 

真剣な眼差しで言われて、真紅は根負けした。


架のやり方を変えるのは相当の力がいるようだ。


「……自分から死ぬんじゃなくて、殺されて死ぬのなら、いいかなって思った。……私は、海雨のドナー適合者なの」


「―――」

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