好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「それだけ、だよ。でも、野垂れ死んだら意味がない。黎に見つけられて、血をくれないかって言われて、ならあげるって言った。
……血は黎にあげるつもりだった。海雨に要るものは、海雨にあげたかった」
「……本当に、死ぬつもりだったんだ?」
「……うん」
そうして、終わることを望んでいたはず。でも、黎は真紅を助けた。
真紅は小首を傾げて微苦笑を浮かべた。
「今は、そんな気、全然なくなっちゃったけど」
逢いたい人が、いるから。
二度と逢ってはいけない人かもしれないけど。
「真紅、架、行くぞ。あまり遅くなると厄介だ」