好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「てか叫ぶな! ……ほら」
 

また青年が叫ぶ。
 

ぐらりと視界が廻って、座っていても倒れてしまった。


……青年の腕に抱きとめられてしまう。


「ただでさえ血ぃねえんだから、無駄に使うな」


「……ちくしょう」
 

青年は心配するように言ってくれるが、真紅は悔しくて悪態をつく。
 

こんな間抜け姿を見せる醜態が悔しい。
 

……心配されるような口調をされると、困る。どうしていいのかわからない。
 

――さっきまでは死を覚悟していた。
 

なのに。


「寒いのは我慢しろよ」
 

言って、服の背中をめくりあげられた。


(………)
 

傷に、素肌に、手が触れている。青年の。


「……ギャーッ! 何すんだ色魔! 変態!」

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