好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「紅亜様とよく似ていらっしゃるだろう。だが、性格は真反対というべきか。紅亜様のように穏やかな気性ではなく、荒々しく物々しい母だ」
「も、物々しいの?」
それって性格に対する評価でいいのだろうか。
「ああ。短気だ」
今度は一言で片づけられた。
どんな人なのだろう。母と同じ顔の、双児の妹――
「逢ってみたい」
「うん?」
「私、紅緒様に逢ってみたい」
真紅の言葉を聞いて、黒藤は片眉をあげた。