好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「黒藤さん……?」


「若君、どういうことです? 現に、黎は吐血して倒れたんですよ?」


「ああ。不要な血を吐いて倒れたんだ」
 

不要な血? 


真紅が黒藤を見返すと、白桜が歩み寄って来て、真紅の隣に膝をついた。


「黎明の、身体は起こせるか?」


「え? ああ……」
 

黎が上体を起こすのを、真紅は反射的に背に手を添えて手伝った。


白桜は、黎の手首辺りに触れた。


「うん。心音に問題はない。脈拍も正常だな。真紅、心配しなくていい。黎明のの命と世界は、生きる道を選んだよ」


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