好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「で、でもでも、真紅を育てるのは黒藤にはまだ無理です。ここはわたくしが育てないと――」


「その理屈はわかってるわ。だから、紅緒も審査したらいいじゃない」


「……わたくしが?」


「母親としては、黎くんが真紅ちゃんと付き合うこと認めてます。

だから、紅緒も一緒に暮らす叔母(おば)として、黎くんのことをちゃんと見てあげたらどう? 

頭ごなしに否定して駆け落ちなんてされちゃったら私、紅緒のことを大っ嫌いになるわ」


「わわわわわかりました! ちゃんと真紅の相手として見定めます! だから出て行くとか嫌いにとかならないでくださいっ!」


『⁉』
 

一変、泣きそうな声で叫んだ紅緒に、四人そろってびっくりしてしまった。
 

各々(おのおの)、遅れて理解する。


⦅……真紅がどうのというより、ただのシスコンか……⦆
 

紅緒は姉には逆らえないようだ。


「……紅亜様には是非とも小路に復帰してもらいたいな……」
 

小路流の正統後継者、かなり私見を含んだ意見ながら、御門流の当主も無言でうなずいてしまった。


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