好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
言われた通りじゃないと言い張りたい。
本当に、すきなのだと。
大すきなのだと。
一緒にいたいのは最期のときだけじゃなくて――
「真紅―? 大丈夫? どっか痛い?」
「……えっ?」
痛そうな顔をしているのは海雨だった。
真紅の顔を覗き込んでいる。
「……うん。怪我はしてないよ」
「……真紅?」
真紅のいやに落ち着いた表情と声に、海雨は不安げな声を出した。