好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


この吐息に混じって今、胸にうずまく気持ちも流れ出てしまえばいいのに。
 

こんなにも自分に恋が似合わないと思わなかった。
 

何で自分は人間じゃないのか、とか、考えればいいのかもしれない。
 

でもそんな益体(やくたい)もないことを考えても時間潰しにもならない。


(真紅)
 

たった二つのその音ですら、こんなに愛しい。
 

それが姿を伴って目の前に現れたら。
 

狂おしいほど愛してしまいたい。


(……つったって、ここサボったらじじいがうっせーしな)
 

真紅が今日たまたま、病院にいただけであってくれ。

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