好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
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「黎、何してんの」
呆れた声をかけられ、黎は覚醒した。
「え、……ああ」
そこは院長秘書室の一角。
黎を《監視している》人物の息子がこの病院の院長を務めていて、黎は更に家にいる以外の時間も目のつくところに――ということで、病院で働かされていた。
大学に通い、時間が空けば病院にいる。
仕事は院長の補佐、そして心療医見習い。
血に触れることは赦されないので、けれど耐性をつけろとか意味のわからない理論を持ち出され、心療医を目指す身になっていた。
黎自身、望んだ自分がなかったから将来をどう決められようと構わない。
――はずだった。昨日までは。