好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
母が早く来た日は、海雨にところへ行って帰りが遅くなっても怒られることもない。
海雨以外に深い付き合いの友達はいないので、お泊りー、なんてことにもならない。
真紅は大勢で群れるより、気の合うたった一人といる方が楽で、すきだった。
だから、今まで生きて来て淋しいなんて感情を知らなかった。
黎がいない朝に、初めて襲ってきた孤独。
淋しい。
独りは嫌だと、大声をあげて泣きたくなった。
その声は、たった一人のすきな人に届けばいい。
届かないと知っているから、真紅は声をあげて泣くことはしなかった。
ただ、ひっそり泣いた。