クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 いつもは優しくて、最近は時々甘い空気を醸し出すことはあるけれど、基本的には穏やかなリュシオンが、今は鋭い目をして私を見下ろしている。

 この状況に混乱する私に、リュシオンはふと表情を和らげて言った。

「緊張しているようですね」
「え……だって……」

 私だって、結婚初夜に何をするのか知識としては知っている。

 だけどいざその場になると冷静でなんていられないし、どうしたって緊張してしまう。

 リュシオンの手が優しく私の頬を撫でる。

 私を安心させようとしてくれているんだと思うけれど、ベッドに組み敷かれ、見下ろされたこの状況でホッとすることなんて出来なくて……期待と不安で私は落ち着き無く視線をさ迷わせる。

 そんな私を見て、リュシオンはふっと小さな笑いを零すと、顔を傾け口付けて来た。

「大丈夫、怖いことはしない」

 言葉と共に、キスが降りてくる。

 もうすっかり慣れたリュシオンのキス。

 それでもときめきは止まらなくて、私はうっとりとリュシオンを見上げる。

「リュシオン……大好き」

 いつものように気持ちを伝える。

 リュシオンは嬉しそうに頷いてくれて、それからまた私の唇をそっと塞ぐ。

 そっと目を閉じて受け入れた私は、次の瞬間唇を割ってリュシオンの舌が入って来たことに驚き、ビクリと身体を震わせ目を見開いた。
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