クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「んんっ!」

 反射的にリュシオンの胸を押し返すけれど、びくともしない。

 そうしている内に、両手はリュシオンによって掴まれ、抵抗ひとつ出来なくなった。

 何度も深いキスが降りてくる。

 頭が真白になってしまうそれは、私が息も絶え絶えになる迄続けられ、解放された時、私は視線も定まらず呆然とリュシオンを見つめていた。

「グレーテ」

 リュシオンが私を優しく見下ろし、何度も貪られた唇を長い指でそっと撫でる。

 すっかり熱くなった唇はリュシオンに触れられると、敏感に反応してしまう。
 唇だけで身体中も……熱い。

 これが本当の恋人同士のキスなの?

 刺激が強すぎでどうかしてしまいそう。

 だけど、もう一度して欲しいと思ってしまう。身も心も溶けてしまいそうなキスを。

 潤んだ目で見つめると、応えるようにリュシオンが近付いて来る。

 それからはもう何も考えられなかった。

 長い間私の唇を塞いでいた、リュシオンの唇が首筋から胸元に進んで行き、纏っていたドレスを取り払われる頃には、私は自分でも驚くような甘えるような声を上げていた。

 ただ必死にリュシオンに背中に腕を回して縋りつく。

「グレーテ」

 リュシオンが、すっかり力を失った私を抱き締めながら言う。

「愛している。私の妻になってくれてありがとう」
「リュシオン……私も」

 私は誰よりも幸せだ。

 最愛の旦那様を、心からの愛を込めて抱き締めた。


~end~
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