クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~

「グレーテ姫は、想像以上にしっかりしている方ですね」
「え?」

 顔を上げると、無表情で私を見下ろすサウル王子が見えた。

 サウル王子は相変わらず冷ややかな声で言う。

「あなたの事は事前に調べさせてもらいました」
「私の事を?」

 それは情報を伝えて問題ない相手か見極める為だろうか。
 そうだとしたら当然な行動だ。だけどサウル王子の様子から何か別の思惑を感じて、私は更に不安が増すのを感じていた。
 そんな私の不安定な様子を気にする事なく、サウル王子は続ける。

「グレーテ・アンテス。アンテス辺境伯の次女で、ベルハイム王国を代表する騎士リュシオンの婚約者」

 サウル王子が私の身分を淀みなく語る。その様子に私は更なる不安を覚える。

「次期辺境伯の兄とベルハイム第二王子の妻となった姉と比べ、その存在感は薄く、今までこれといった実績もない」
「サウル王子、これはいったい……」

 どういうつもりなの?

「正直言えば、私はグレーテ姫を侮っていました。責任の無い立場で、地方の領地で暢気に育った姫。貴族でもない騎士リュシオンとの婚約を命じられても、反抗することも無く流されるだけの娘。扱いは容易いと思っていました」

 あからさまな侮蔑の言葉に、私は瞠目する。
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