捨てられた町
さて、このウサギは一体何者なのかと話を聞こうと思ったのだが、家に招き入れたウサギは大根チップスに夢中になってしまっていた。


前歯でシャクシャクと大根チップスをかみ砕いていく音だけが部屋の中に響き渡る。


その食べっぷりは見ていて爽快になるほどで、大根リップスの袋は見る見る内に空になっていった。


「お腹が空いてたのかな」


僕の膝の上に乗っかっているカエルに小声で話しかける。


「そんなはずはない。空腹感なんてこの町には存在しない」


「だよね」
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