捨てられた町
振り向くと大きな家電の両足がバキバキと木々をへし折って向かってくるのが見えた。


「た、大変だ! 早く逃げなきゃ‼」


そう言ってみるものの、さっき落下してここまで落ちて来たばかりの体は思うように動かない。


立ち上がろうとしてそのままバランスを崩してこけてしまった。


「舗装された道までは出てこない」


化け物を確認したカエルが落ち着いた口調でそう言った。


「そ、そうなのか?」


「あぁ。見て見ろ。森の外にいる俺たちの姿を確認することができずにいるだろ」


カエルの言う通り、化け物は道路の手前で立ちどまり辺りを見回している。


僕を探しているのだ。
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