捨てられた町
カエルが驚いたように顔をあげた。


「この町の住人は嘘をつかない。嘘をついたとしても、バレバレだからだ。だけどそれは悪い事じゃないと思う。


人を欺き、落としいれる事がないってことだ。僕はそんな町にいるカエルと、親友になりたい」


恥ずかしいと思えるような言葉がスラスラと自分の口から出て来て、僕自身も驚いていた。


だけどカエルは徐々に笑顔になり、そして僕の膝に飛び乗って来た。


「ありがとう。俺も、ルキを親友だと思うよ」


カエルは僕に背中を向けてそう言った。


だけどその顔がにやけていることを、僕は知っていたのだった。
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