捨てられた町
傘1人に家中を探されるのは嫌だったので、仕方なく僕たちも一緒に傘の探し物を手伝う事になっていた。


「なんでこんな事に……」


テレビがいなくなってしまった干渉に浸っていたいカエルは、ブツブツと文句を繰り返している。


「仕方ないだろ。さっさと見つけて、さっさと帰ってもらおう」


僕はそう言い、雨に似た物を手当たり次第に傘に見せて言った。


しかし傘は「違う」「それじゃない」と繰り返し、探し物は一向に見つかる気配がなかった。
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