捨てられた町
舗装された道から丘の上に出た。


周囲は真っ暗なのに、丘の中心部分だけが明るく照らし出されている。


僕は空を見上げた。


光の向こうになにがあるのか、僕はもう知っていた。


「この光が階段になってるんだね」


「そうだ。元へ戻るための魂の階段だ」


僕は手を伸ばし、その光に揺れてみた。


とても暖かな温もりを感じる。


「カエル。僕を待っててくれてありがとう」


振り向いて僕は言った。


カエルは2本足で立ち「別に、どうってことはない」と、ぶっきらぼうに答えた。
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