捨てられた町
やはり家はどこにも見当たらない。


「ここが私の家よ」


マヤはそう言うと、着物が汚れてしまう事も気にせず洞窟の中へと入って行ったのだ。


「マヤさん、そんなところに入るなんて危ないですよ!?」


真っ暗な洞窟の中へ向かって声をかける。


一歩足を踏み入れるだけでもう何も見えないくらいの暗闇だ。


「大丈夫よ。ほら、明かりもあるの」


そんな声が聞こえて来た時、ロウソクの明かりが洞窟内を照らし出した。


マヤの姿がオレンジ色に浮かび上がる。


洞窟の中には割れた食器やロウソクの束が乱雑に置かれている。
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