Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「村瀬」
「やだってば!」
店長なんか無理だってば!!!
「いい加減にしろ。村瀬」
「西崎さん…」
「もうあきらめろ。
これは辞令と一緒なんだよ。ガキみたいに駄々こねたって決定事項は変わらない」
「…」
「…異動が嫌なら、…辞めろって話だ。
それが社会のルールだ」
「西崎さん…」
「やってもみないで沈むとか言いきるなよ。リーダーの資質も、そりゃ必要といえば必要だけど、そんなものは最初なくても責任感や使命感からしぜんと後から備わってくる」
「…」
「…村瀬。
お前を新店舗の店長に推したのは俺だ。
店長の器とかリーダーの資質とか、確かに今のお前にはないかもしれない。
でもそれ以上のものをお前は持ってると俺は思う」
「西崎さん…」
「俺はお前を4年間見てきた。
面接で初めて会ったときからお前の成長をちゃんとこの目で見てきた。
失敗も成功も、頑張る姿もぜんぶ…。
…お前を採用するって決めたとき、本当は不安があった。正直、長く勤まらないだろうと思ってた。でも違った。
面接のときに俺が言ったこと覚えてるか?」
あたしはコクンとうなずく。
「根性もプライドも向上心もまるでない。
あの頃のお前に一切なかったそれら全部、今のお前には十分備わってると思う。
備わってるから、今ここにお前はいるんだろ?」
今ここに…あたしはいる。
「その3つがあれば十分だよ。店長になる資質。――大丈夫。お前ならできる」