Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「デートの約束かも知れませんよ?」
子機を手渡してくれながらそっと耳打ちする。
「まさか///」
三沢さんはふふふって笑って川本くんみたいにファイトポーズをする。
あたしは高鳴る胸を抑えながら電話に出た。
そんなっ…デートの約束であるはずがないじゃない///
「もっ…もしもし」
西崎さんからデートのお誘いなんかあったら天にも昇る心地だけど、きっといつもの業務連絡だよ。
だって4年半以上も仕事で付き合いがあるのに今までにただの一度も2人っきりで食事をしたことすらないんだから。
どうせ今日の会議の最終確認なんだと思う。
急激に冷めていく体の内側の熱を感じながら西崎さんのいつもの穏やかで優しい声を聞いた。
『あ、村瀬? 良かった、お前まだ出てないんだな? もうすぐそっち着くから出ないで待っててくれないか?』
「えっ? 何でですか?」
西崎さん、こっちに向かってるの?
『車2台で行くのもあれだし。ちょうど通り道だからついでにそっち寄っておまえ拾ってこうかと思って』
「ええっ!?」
そ、それって…
もしかして…
会議、一緒に行こうってこと――!?