Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完

「ごめんなさい…」



ユリカさんが弱々しい声音で謝っている。



「あなたとは1回きりだって分かっていたけど、でももう一度だけ会いたくて」



ユリカさんが切ない声の調子でそう言うと、福嶋くんが煩わしい感じでため息をついたのが聞こえた。



「こんなところで…やめてもらえませんか? 俺はああいう商売する気はないし、あなたとはあの日限りで、今後頻繁に会う気はありませんから」



毅然と言い放つ福嶋くんに、ユリカさんは口をつぐんでいるようだった。



「帰ってもらえませんか? 勤務中なんで」



「待って…終わるまでどこかで待っていたらダメかしら。もう一度…もう一度だけあなたと話がしたいの」



「すみません。俺には話すことなんてないんで」



福嶋くんは軽く頭を下げると、追いすがるユリカさんを無視してバックヤードに消えていった。





振り返った際にほんの一瞬あたしを見下ろした福嶋くんの瞳は、何だか憎しみのこもったような色をしていて…



目が合った瞬間、背筋がゾクッと震えた。







…なんで、

そんな目をするの――…?










次章≫≫≫手に入らないモノ。
< 313 / 501 >

この作品をシェア

pagetop