Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
祖父母の家の筋向かいに建つ優花と菜月が住む相澤家は、まさに絵に描いたような温かい家だった。
農家を営んでいるおじいさんとおばあさんと、同じく家業を手伝っているおじさんとおばさんと、優花と菜月の6人暮らし。
夜遅くまで近日中に賑やかな声が響き渡っていた。
相澤家の人たちはひとつも偏見の目で俺を見たりはしなかった。
むしろ俺まで家族の一員みたいに気安く接してくれて、朝から晩までご飯をご馳走になったこともあれば、家に泊めてもらったこともしょっちゅうあった。
おじさんは『ウチは女の子ばかりだから』と俺を本当の息子のように可愛がってくれて、一緒にお風呂に入ったりキャッチボールをして遊んでくれたりした。
やんちゃして庭にあった盆栽を落として割った時なんかは、まるで本当の父親みたいにどつかれたりもしたっけ。
そんなこんなで俺にとって相澤家は、本当の家族よりも大切で、何よりも失いがたくて、大好きな家族だった。