Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「村瀬、外。」
「え」
「外見てみろよ」
福嶋くんがふいに顎をしゃくって窓の外を示した。
「……わぁ、てっぺんだぁ♪」
福嶋くんに言われて窓にへばり付くと、ゴンドラがいちばん高い位置に来た。
夜景が一層キレイに見える――。
「時計でいう12時の位置だな」
「12時? ……あ、そういえばそうだね。
あ、だから魔法?」
「ああ」
「シンデレラのお話でしょ? それだと12時を過ぎたら魔法は解けるんじゃないの?」
「そう。だから“魔法が解ける魔法”」
「魔法が解ける魔法?」
「夢の時間はおしまい。12時を過ぎたらお前はもとの冴えないお前に戻る」
「はぁ?」
冴えないって何よ、冴えないって(ーεー)
「だから? だから身分相応になるようこんなぺったんこの靴履かせたわけ?」
あたしは夢見ちゃいけないってこと――?
ムッとして頬を膨らませながら訊くと、その頬をギュッとつねられる。
「痛いよ、もーー……C=(>_<。)。」
何すんのっ?
「イタいのはお前自身だろ?」
「はぁ?」
「いくら背伸びしても人間の本質は変わんねーんだから、釣り合いを気にしたり、あれこれ外見を飾ったりする必要ドコにもねーだろ? それよりそんな労力があったらもっと内面磨く努力しろよ」
「……内面、磨く、努力…?」