Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「大丈夫か?」
気がついたら福嶋くんの腕にしっかり支えられていた。
はっとして福嶋くんを見上げると何だかいつもより顔の位置が遠く感じる。
…そっか、ローヒールの靴のせいか。
福嶋くんも西崎さんと同じくらいの背丈だもんね。
そう考えると、西崎さんともこんなに身長差があるんだって、擬似体験を通じてあらためて思い知らされた。
…何だか笑える。
西崎さんから見たらあたしなんか顔といい背丈といい、本当にいつまでたっても妹みたいな存在でしかないんだろうな。
せっかく福嶋くんが励ましてくれたのに、ますます卑屈になる自分を振り払えない。
あたしって、どうしてこう自分に自信を持てない女の子なんだろう。
だからダメなんだろうね。
だからずっと…
じわっ…
ふいに目頭が熱くなる。
ヤバイ、また福嶋くんの前で泣いちゃう。
これ以上福嶋くんに迷惑かけるわけにはいかない。
そう思って、とっさに溢れ出しそうになった涙を押し隠すように、
「ご、ごめん福嶋くん! 今日はいろいろありがとうね! また明日ね!」
そう早口で言って急いで車に乗り込もうと福嶋くんに背を向けた――
瞬間…
ガシッと肩をつかまれ、くるりと身体を反転させられる。
福嶋くんの険しい顔を見たとたん、涙が頬を伝った…