Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完



――テーブルに所狭しと並べられた料理をほとんど平らげた。



自分が病人だというのが嘘のように。



「慧吾ってさ、風邪ひいたときはいっつもお姉ちゃんの手料理しか食べなかったよね」



「…そう…だった…っけ?」



「昔からそうだったじゃない。おばあちゃんの作ったお粥よりお姉ちゃんの作った肉じゃがばかりバクバク食べてた。ホントに病気なの?って思うくらいの食欲で」





…確かに、思い返してみると体調を崩したときは普段は食べていたばあちゃんの料理をハンストして、かわりに優花が持ってきてくれた料理にばかり手をつけていたっけ。



鼻が詰まって味がわからないのにそれでも優花が俺のために作ってくれたから、それが嬉しくて子供ながらに褒めちぎって全部平らげていた。



「いま思えば慧吾ってあの頃からお姉ちゃん一筋だったんだね」



しみじみ呟いて菜月はお茶を口に含む。





……あの頃から。



優花に対する特別な想いにまだ気づかなかった頃から、物心ついたときから優花がつねにそばにいてくれた。



何かと世話を焼いてくれた。



両親がいなくてさみしがっていたら優しく身体を抱きしめてくれた。



『大丈夫。大丈夫』



優花のやわらかい口調を思い出す。



『大丈夫。大丈夫』



頭を撫でる手の温もりを思い出す。



『大丈夫。大丈夫』







優花は――――母親みたいな人だった…





最後まで…







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